へそ石 1(2/25/2001)
1.奇岩へそ石とは?
へそ石は、三浦半島で発見される奇妙な石で、大きさはこぶし大ほど、概ね下部のふくらんだ洋梨のような形をしてる。
「海岸の石にはいろいろな形があるからね、奇妙というわけではないでしょ!」と言いたくなると思うのだが、へそ石が奇岩たる由縁はこの石には必ずへそがあるということである。それも決まって同じ位置に!
この形状(へそのような窪みが存在すること)から「へそ石」と呼ばれているようで、近所の翁(チャチャ(柴犬雑種)のおじいさん・・)もへそ石と呼んでいました。昔はたくさん取れたそうです。
サンプル写真をご覧下さい。(クッリックすると大きな画像で見ることができます)
ここでは典型的な3種類のタイプ(洋梨型・円柱型・扁平型)を載せました。
2.過去のへそ石研究
三浦半島のへそ石について、過去の研究報告を探しました。その結果、
1:横須賀博物館報No.24(1978年3月)
三浦半島および房総半島産へそ石(コンクリーション)の産出層準について(蟹江)
2:横須賀博物館報No.12(1967年)
いわゆる「へそ石」について(蟹江)
の2件が見つかりました。1によると次のように報告されています。
(1)へそ石は「石灰質コンクリーション」で上面より下面に貫通する穴があいており、この穴は二次的堆積物によって充填されている。
(2)へそ石は葉山層群の森戸層から産出している。 (3)へそ石は高知県の室戸累層より報告(KATTO,1965)されたものと同じ環境で形成されたと推定される。 (4)(2)(3)の地層は大陸棚斜面ないしtroughのようなところで体積した亜深海堆積物であろう。
(5)房総半島の東岸でも泥岩中にへそ石に外形的に類似したコンクリーションが発見されている。
なんだかすべてわかっているような、実は全然わかっていないような・・・・
室戸累層のへそ石は硫化水素のガスが噴出した穴に別の堆積物が充填して出来たと解釈されている。また、室戸累層の時代は漸新世(甲籐、1977)で、troughに堆積した乱泥流堆積物(KATTO,1965)と推定されている。
しかし、要約するとへそ石は単なる奇岩ではなく、亜深海(深度2000〜4000m)の堆積岩であって、海底で何らかの原因(ガスの噴出と推定)で空いた穴に、別の堆積物が詰まったものが長い年月の間に石灰成分で卵形に固まったものらしい。
せっかくへそ石を調べるんだったら、何か目的を持った方が良いだろう。まず、へそ石に興味を持ったのはその形状であるから、何故そのような形になるか明確にしたいものである。つまり、「上面より下面に貫通する穴があいた」理由と「堆積作用による石灰質コンクリーションのメカニズム」について調べてみたい。そこから、へそ石の生成環境が理解され、葉山層下部の堆積環境がわかり、三浦半島の基盤が解析され、プレートの3重会合点の運動が解明!関東地方南部のプレート運動と造山運動関係が明らかになった。そして、広域変成作用の意義が明確になり、従来の日本の地史が大きく書き換えられ、そしてnobikameの名前が世界にとどろく・・・・・そんなわけないか・・・
へそ石における石灰質コンクリーションのメカニズムと上面より下面に貫通する穴の原因を考えながら、この先を続けていこうと思う。
素人がいくら調べても大したことがわかるとは思えない。でも、私は科学が好きだし、自然に興味がある。また、私ごときでも伝えられることも少しはあるだろう。もしあなたが「へそ石」ごときに興味を持ってる大人だったり、大地をなでながら地球の不思議に思いを寄せる少年だったら、少しは役に立つかもしれません。
引用や用語は出来るだけ正確に表現するように注意をしますが、私は素人ですから完璧は無理でしょう。地球科学に知見をもたれる方は陰で笑ってくだ・・・違うって・・寛大にご指導下さい。尚、「三浦半島のへそ石は***だ」と断定できる方はその内容を教えてください。これからの時間が無駄にならないためにも。